まちで見られるバッタやキリギリスの仲間:種類と観察のポイント
都市で見られるバッタやキリギリスの仲間:種類と観察のポイント
私たちの身の回り、例えば公園の草むらや空き地、河川敷など、都市の中にも多様な自然が存在しています。その中でも、草の間に隠れ、時に軽快なジャンプを見せるバッタや、夜になると美しい声で鳴くキリギリスの仲間たちは、身近な自然観察の対象となります。これらの昆虫は、都市環境に適応しながら生活しており、その姿や生態を知ることは、都市の自然の豊かさを再認識するきっかけとなるでしょう。
この記事では、まちで出会えるバッタやキリギリスの仲間に焦点を当て、どのような種類が見られるか、どのように観察すれば良いか、そして彼らの特徴的な「鳴き声」について解説いたします。親子で一緒に、身近な場所での自然観察を楽しむための一助となれば幸いです。
都市で見られる主なバッタ・キリギリスの仲間
都市環境で見られるバッタやキリギリスの仲間はいくつか種類があります。代表的なものをいくつかご紹介します。
- オンブバッタ: 体長は2~4cm程度で、メスの背中にオスが乗っている姿をよく見かけることからこの名がつきました。緑色や褐色の個体が多く、草むらでよく見られます。比較的動きが緩やかで観察しやすい種類です。
- トノサマバッタ: 体長はオスが4~5cm、メスが5~7cmと大型のバッタです。緑色、褐色、稀に黒っぽい個体もいます。開けた草地や河川敷などで見られ、長い距離を飛ぶことができます。
- ショウリョウバッタ: 細長い体型が特徴で、特にメスは体長が7~8cmにもなります。「キチキチバッタ」とも呼ばれ、飛ぶときに翅(はね)が擦れて「キチキチ」という音を立てます。オンブバッタと同様に、緑色や褐色の個体が見られます。
- エンマコオロギ: 体長は2.5~3cm程度で、真っ黒な体が特徴です。夜行性で、秋の夜長に「コロコロリー…」と美しい声で鳴きます。都市部の植え込みの下や、建物の隙間などでも見られます。
- ツユムシ: 細長く、薄緑色の華奢な体つきをしています。体長は3~4cm程度です。主に夜に活動し、「ジー…チョン」といった特徴的な声で鳴きます。木の葉に紛れるのが得意です。
これらの他にも、ナナフシモドキ(バッタに近い仲間ですが、姿は枝に似ています)や、小型のコオロギ類など、様々な仲間が都市にも生息しています。
バッタやキリギリスの観察ポイント
彼らを観察するためには、いくつかのポイントがあります。
- 生息場所: 公園の草むら、河川敷、空き地、学校の校庭、自宅の庭やベランダの植木鉢の周りなど、背丈のある草が生えている場所を探してみましょう。種類によって好む環境が少しずつ異なります。
- 観察の時間帯: バッタの仲間は主に日中に活動します。キリギリスやコオロギの仲間は夜行性のものが多く、夕方から夜にかけて活動が活発になります。それぞれの活動時間帯に合わせて探してみると見つけやすいでしょう。
- 見つけ方のコツ: 草むらを歩くと、バッタが驚いて飛び跳ねることがあります。静かに草の間を覗き込んでみたり、葉っぱの裏などを探してみるのも良い方法です。子供と一緒に観察する際は、「草の色に似た虫を探してみよう」など、宝探しのように工夫するとより楽しめるかもしれません。
- 観察時の注意: 捕まえて観察する際は、優しく扱うことが大切です。無理に触ったり、乱暴に扱ったりすると、彼らを傷つけてしまう可能性があります。観察が終わったら、もといた場所にそっと戻してあげましょう。また、一部の地域では捕獲が制限されている場合もありますので、地域のルールを確認することも重要です。
鳴き声から種類を知る楽しみ方
バッタやキリギリスの仲間の大きな特徴の一つに「鳴き声」があります。ただし、実際に声を出しているのではなく、体の部位(翅や後脚)をこすり合わせることで音を出しています。これを「鳴音(めいおん)」と呼びます。
鳴くのは主にオスで、メスを呼ぶための声や、縄張りを主張するための声など、状況によって鳴き方が異なります。種類によって鳴き声が全く違うため、鳴き声を聞き分けることで、そこにどのような種類の昆虫がいるかを知ることができます。
例えば、エンマコオロギの「コロコロリー…」、ツユムシの「ジー…チョン」、またはショウリョウバッタが飛ぶときの「キチキチ」という音など、それぞれの種類が持つ独特のサウンドがあります。
親子で一緒に、耳を澄ませて草むらの音を聞いてみるのはいかがでしょうか。「これは誰の声かな?」「どんな虫が鳴いているんだろう?」と想像しながら、鳴き声を手がかりに虫を探してみるのも、新しい発見につながる面白い取り組みです。スマートフォンの録音機能を使って、気になる鳴き声を記録しておき、後で図鑑やインターネットで調べてみるのも良いでしょう。
子供と一緒に楽しむためのアイデア
自然観察は、子供たちの好奇心を刺激し、探求心を育む貴重な機会です。
- 観察ノート: 見つけたバッタやキリギリスの絵を描いたり、見つけた場所や日時、鳴き声の様子などを記録するノートを作りましょう。写真や動画を撮って記録するのも良い方法です。
- 図鑑を活用: 観察した昆虫の名前を、図鑑を使って一緒に調べてみましょう。名前を知ることで、さらに興味が深まります。
- クイズ形式で学ぶ: 「この鳴き声の虫はどれかな?」「背中におんぶしているバッタの名前は何?」など、クイズ形式で楽しく知識を深めることができます。
- 環境とのつながりを考える: 彼らが何を食べているのか、どんな生き物に食べられることがあるのかなど、生態系の中での役割について話し合ってみるのも良い教育になります。
まとめ
都市の身近な場所にも、バッタやキリギリスの仲間たちはたくましく生息しています。彼らの姿を探したり、特徴的な鳴き声に耳を傾けたりすることで、普段見過ごしている都市の自然の多様性に気づくことができます。
ぜひ、この機会に親子で一緒に、まちの草むらを訪れてみてください。小さな昆虫たちの世界には、驚きや発見がたくさん隠されています。そして、見つけた発見は、「まちの自然発見ひろば」でぜひ皆さんと共有してください。皆さんの投稿が、他の家族の新たな発見のヒントになるはずです。