まちで見られるダンゴムシとワラジムシ:種類と観察のポイント
まちの片隅に隠れる小さな生き物たち
私たちの暮らす都市の片隅には、注意深く探すと様々な生き物たちがひっそりと暮らしています。その中でも特に身近で、子供から大人まで観察しやすいのが、ダンゴムシとワラジムシの仲間です。湿った場所を好み、落ち葉や石の下などに集まっている姿をよく見かけます。
これらはまとめて「だんご虫」や「わらじ虫」と呼ばれ、しばしば混同されますが、実は体のつくりや生態にいくつかの違いがあります。この記事では、都市でよく見られるダンゴムシとワラジムシの種類や、それぞれの特徴、そして観察のポイントについて解説します。
ダンゴムシとワラジムシ、その正体とは
ダンゴムシやワラジムシは、昆虫ではなく、実はエビやカニと同じ「甲殻類」の仲間です。陸上で生活するように進化した、等脚目というグループに属しています。外敵から身を守るために、ダンゴムシは丸くなることができますが、ワラジムシは丸くなることができません。この点が、両者を見分ける最も簡単な方法の一つです。
都市部では、オカダンゴムシやオカメダンゴムシ、またオカダンゴムシによく似たハナダカダンゴムシなどがよく見られます。ワラジムシとしては、主にオカダンゴムシと同環境に生息するオカウミナナフシ(ワラジムシ科の一種)が身近な存在です。
ダンゴムシとワラジムシの見分け方
ダンゴムシとワラジムシを見分けるポイントはいくつかあります。
- 丸まるかどうか: ダンゴムシは危険を感じると体を丸めてボール状になりますが、ワラジムシは丸まりません。素早く逃げるか、平らな体のままじっとしていることが多いです。
- 体の形: ダンゴムシは背中が盛り上がった丸みを帯びた体をしています。ワラジムシはダンゴムシよりも平たく、少し細長い体型をしています。
- 尾の形(尾肢): ワラジムシの体の一番後ろには、しっぽのように突き出した部分(尾肢)が見られますが、ダンゴムシではこの部分がほとんど目立ちません。慣れてくると、この尾肢の有無や形でも見分けることができるようになります。
これらの特徴を比較しながら観察すると、どちらの仲間なのかがよくわかるようになります。
都市部での観察ポイント
ダンゴムシとワラジムシは、都市の様々な場所に生息しています。
- 植え込みの下: 落ち葉や腐葉土が積もっている場所は格好の隠れ家です。
- 石やコンクリートの隙間: 湿り気が保たれやすく、日陰になるためよく見られます。
- 古い木材や朽ちた切り株: 餌となる腐った植物質が豊富です。
- 側溝の蓋の裏: 適度な湿度と暗さが保たれています。
探す際には、石や落ち葉をそっとめくってみてください。めくった後は、元の状態に戻しておくのがマナーです。彼らが暮らしている環境を壊さないように配慮しましょう。
活動が活発になるのは、湿度が高く、気温が穏やかな時期です。特に雨上がりや曇りの日、または一日の中でも湿度が比較的保たれる朝方や夕方によく見かけられます。冬場は活動が鈍くなりますが、凍らないような場所を探すと見つかることもあります。
子供と一緒に楽しむ観察のヒント
ダンゴムシやワラジムシの観察は、親子で都市の自然に触れる良い機会です。
- 「どこにいるかな?」探し: 記事で紹介した観察ポイントを参考に、一緒に探してみましょう。宝探しのような感覚で楽しめます。
- 「どんな形?」比べてみよう: 見つけたダンゴムシとワラジムシを、体の形や丸まるかどうかで比較してみましょう。違いを見つけるのは観察の第一歩です。
- 「何を食べているのかな?」観察: 彼らが普段何を食べているか、注意深く見てみましょう。落ち葉や枯れ草などを食べている様子が観察できるかもしれません。
- そっと触れてみる: 動きがゆっくりなので、指先に乗せて優しく触ってみることもできます。その感触や、丸まる様子を間近で観察できます。ただし、触った後は手を洗いましょう。
- 観察記録をつけてみよう: 見つけた場所、数、大きさ、色、行動などを絵や文章で記録してみましょう。簡単な図鑑作りにもつながります。
観察する際は、生き物を傷つけたり、環境を大きく変えたりしないように十分注意してください。持ち帰って飼育する場合は、彼らに適した環境を用意し、飽きてしまったらすぐに元の場所に返すのではなく、最後まで責任を持って世話をすることが大切です。可能であれば、自然の状態での観察に留めるのが最も望ましい方法です。
まとめ
都市の身近な場所にも、ダンゴムシやワラジムシのような面白い生き物がたくさんいます。彼らの小さな世界を覗いてみると、意外な発見があるかもしれません。
この「まちの自然発見ひろば」では、皆さんの身近な場所で見つけた自然の発見を共有する場です。ぜひ、今回ご紹介したダンゴムシやワラジムシの観察を通して見つけたこと、感じたことをサイトに投稿してみてください。他の皆さんの投稿から、新たな観察のヒントが得られるかもしれません。